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Philosophy

我々は普段、何気なく目の前に存在するものがそこに本当に「存在」していると思っている。しかし、それは本当に存在しているのだろうか。例えば、我々はとある部屋の中にいて目の前にリンゴがあったとする。部屋の中の光がリンゴに当たり、それが反射して視覚神経に当たる。それによって我々は目の前にリンゴが存在していることを知覚する。しかし、それは我々が目の前にリンゴの存在を知覚したに過ぎない。ここには二つの世界が想定できる。それは実際にリンゴが存在している現実世界と、それらが我々の脳内で知覚される知覚世界である。そして、我々は決して実物のリンゴを知覚することはできない。なぜならその存在を知覚した時点でそれは知覚世界の中での出来事だからである。ここから一つの仮説が提示される。それは、実物のリンゴが存在しているような現実世界は本当に存在しないのではないかという仮説である。実は、我々(正確には私)はある日交通事故に遭ってしまい、緊急手術によって脳だけ救出される。それを水槽の中に入れ、電極を繋ぎ電気による刺激を送って私の世界が知覚される、という仮説である。これは信じられないものだろう。しかし、この仮説を否定することはできない。こんなSFみたいな世界の想定を我々は否定する論拠を提示できない。さて、目の前に現前するこの世界は本当に存在しているのだろうか。

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